ちくわブログ

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「異世界テニス無双」を潰したのは、「テニスの王子様」ファンの抗議なのか問題。

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 そもそもの話として、パロディというのは他人の著作物やアイデアを借用する行為でしかない。日本においてはパロディ権が認められていないため、その作品の根幹に揺るがないオリジナリティがない限り、取り扱いは極めて難しい。特に商業作品ならば尚更だ。

 現在連載中で有名なパロディ作品として「銀魂」や「ケロロ軍曹」があげられれるが、両作はどちらもストーリーの根幹や設定自体はオリジナル作品であり、それを彩る肉付けとしてパロディが多用されている。しかしそれが肉付けでしかないため、パロディ部分を省いても作品としての体裁は揺るがない。

 また田中圭一先生のように、原作者遺族より直接「黙認」を受けたパロディ作家も存在するし、他にも高遠るい先生のように優れた画力を持って、インスパイアを受けた作品の画風を忠実に再現出来る作家もいる。

 いずれにおいても彼の作品、彼の作家陣のそれは表層的な借用に留まらず、時に本質的な領域にまで達しつつ、それでいて「借用元のオリジナル作品には存在しない物語」を描くからこそ、第三者による安易なパクリ認定を跳ね除け、プロとして活躍出来るであろう事は想像に難くない。

 

 一方、文字の世界のパロディについてはどうだろうか。

この素晴らしい世界に祝福を!(以下このすば)」は、いわゆる異世界転生モノのパロディ作品である。しかし、ただ表面的なパロディを行うのでなく、アンチテーゼであったり、よくある展開や設定をあえて変更する事でオリジナリティ溢れる物語にくみ上げている。

 主人公カズマは異世界転生で無双するようなキャラではなく、腕っ節はからっきしで口ばかり達者な皮肉屋で、ヒロインもカズマを助けるどころか足を引っ張った上で崖から突き落として高笑いしても不思議じゃない残念なキャラばかりだ。しかしそれが作品の大きな魅力になっており、またこの作品でなければならない要素の一つとなっている。

 そう、「このすば」におけるパロディ要素とは、既存作品や設定のあえて正反対を行く事で大きなオリジナリティを醸し出している。故にパロディ要素がふんだんにあるにも関わらず、パクリ作品扱いされないという強みがある。

 最大の長所は王道異世界ファンタジーの正反対を進みつつも、これもまた一つの王道と云える骨子を秘めている点にある。カズマは最初こそ貧弱な坊やだが、少しずつ少しずつ力を身に付け、魔王四天王とも渡り合えるようになる。ただ、この作品は既存作品のアンチテーゼであるが故に、カズマカズマは正道を歩まない。ひたすら卑怯卑屈に、重箱の隅を突くような戦いで勝利を収める。それ故に、劇中やファンの間ではゲスマやクズマなどと呼ばれる始末。

 カズマはヒロインの一人が女神で復活の魔法を使えるから死んでも何度でもやり直せるのに、「死んだら痛いからイヤだ」という理由でリスクを冒さない。かと思えば、名誉や金のために大胆な行動も厭わない。それらは矛盾する事なく、カズマという主人公の魅力になっている。

 

 閑話休題

 それでは、この「異世界テニス無双」はどうだろうか。

「テニス」が単なるスポーツではなく、ともすれば超能力バトルと呼べる領域になってるという設定は明らかに「テニスの王子様」そのものであるし、現実世界の強者が異世界転移して無双するという展開も、「異世界無双モノ(俺Tueee)」としてベタな設定だ。ある意味ではどちらの設定もパロディと云える。ではこの二つの大きなパロディ要素を外した場合、「異世界テニス無双」には一体何が残るのだろうか。

 もしそこに残る強いオリジナリティが存在するのであれば、第三者からのパクリ認定など受け入れる余地はなかったハズだ。

 

 現在、「ちはやふる」で有名な末次由紀先生は、一時漫画業界から干されてた。それは他作品からの構図の盗用・作画トレスが発覚した事で、当時の連載作品が全て中止になった上、既刊全てが絶版扱いされるという厳しい処分を受けたから。もちろん、これを指摘したのは盗用された作家ではなく、第三者だ。


 逆のケースとして、スマホアプリゲーム「Fate/Grand Order」のイベント「英霊剣豪七番勝負」に「魔界転生」のパクリ疑惑が上がり、「山田風太郎先生の著作権を侵害しているのではないか」と疑った第三者が同作や同作の二次的著作物を管理している団体に凸メール投げたけど、相手にされぬどころか「著作権違反に当たる事例とは考えない」と返答され、パクリ騒動そのものが自然消滅したケースもある。


 他にも、槇原敬之氏と松本零士先生を巡る歌詞盗作騒動というトラブルも記憶に新しい。

 これは第三者を介したモノではなく当事者同士の争いだが、結局パクリ認定した松本零士先生が地裁で負け、そのパクリ疑惑が退けられたばかりか、槇原敬之氏に対する名誉毀損として損害賠償まで命じられた。(最終的には後者が前者に謝罪する事で和解が成立しています)


 何であれ、当事者にしろ第三者にしろ、パクリを指摘する事は何らおかしくない。その指摘が杜撰で間違っているなら、そもそも当事者には相手にされないか、下手をすれば名誉毀損で訴えられる。

 パクリ認定は一定のリスクがあるので「迂闊にするべきではない」という意見には一定の見解があるだろうが、「親告罪なのだから、当事者以外が指摘すべきではない」というのは全くの的外れだ。

 先にも論じた通り、その指摘が杜撰であれば指摘した当人がしっぺ返しを食らうだけだし、パクリという行為が「盗作」という社会的・倫理的に問題のある行為であるならば、その指摘自体は不当でも不法でもない。

 それが不当や不法に当たるケースは、指摘自体が誤りである場合、またいわゆる電凸による業務妨害や、騒動を大きくするためにスパム投稿を繰り返すといった目的のためには手段を選ばない場合などであり、ただ盗作行為を指摘し、あるいは盗作ではないかと抗議する行為を不当・不法と論じるのは全くもって意味のない話。

 著作権親告罪であるが故に、どのようなパクリであっても当事者が問題にしなければ、それは不当・不法な行為とはならない。だからこそ、であればこそ、パクリ認定された側がその指摘を受け入れた事実は、パクリの指摘が正しかった事実を意味する。他に意味など存在しない。

 どうしてこんな簡単な事を理解できず、「第三者ガー」に拘るのかホントに理解出来ない。

異世界テニス無双」を潰したのは、「テニスの王子様」ファンの抗議ではなく、その抗議を受け入れざるを得なかった瑕疵のある作品を世に送り出してしまった作者と編集部そのものなんですよ。

 それを「第三者が抗議によって作品を潰した悪しき前例」と捉えるのは全くもってナンセンス極まりない話。

 

( ´Д`)「結果は正反対やけど、のうりん騒動とか、碧志摩メグ騒動を思い出す話やね」

 

 それ、どちらも第三者の抗議が発端だものね。

 前者は「不快な思いをさせて申し訳ありません」と謝罪をし、問題視されたポスターの図版は変更したものの、コラボ自体は続行で、スタンプラリーやポスター掲示自体も継続

 後者は地元の海女さんの反対もあって公認が撤回されるも、キャラクター自体は現在も非公認キャラとして存続中という、大山鳴動して鼠一匹みたいな展開に終わったのも面白い話だと思う。

 

( ´Д`)「結局、どちらも元鞘とはいかんが、潰れたワケではないのよな」

 

 碧志摩メグに関しても、騒動になったから非公認にしたってだけで、実際に反対していた地元民はおよそ3割で、デザインに関しても公認に関しても7割以上が「問題ない」としているんだよね。

 そして、何だかんだでほぼ半公認キャラとして活動しているというwww

 

( ´Д`)「ふなっしー状態やな」

 

 それな。

 つか、第三者の指摘で完全撤回するっつーのは、やっぱり「そうせざるを得ない問題を抱えていた」と解釈するのが一番適当なハズなんだけど、どうしても「抗議した連中が気に入らない」だけでは済ませられず、「抗議した連中が悪い」と結論づけないと感情が収まらない人がいるって話なのかもね。