憎悪を煽る
アパホテル「南京書籍」増刷 「購入要望多数で在庫不足」 (J-CASTニュース) - Yahoo!ニュース
デマで憎悪を煽れば金が儲かる。拝金主義の成れの果てが今の世界か。資本主義万歳だな。
2017/01/28 01:23
オレはこの書籍は読んでないが、かといって南京事件を否定するつもりもない。
しかして、
「日本人は南京で中国人の一般市民を虐殺しなかった」という内容の書籍が憎悪を煽るのならば、
「日本人は南京で中国人の一般市民を虐殺した」という主張は憎悪を煽らないという事になるのだろうか?
一般書店で流通されていない書籍を増刷する行為が拝金主義なら、朝日新聞のwaiwai騒動なんてまさに日本人に対する偏見を助長させるための拝金主義そのものなんだけど、この人はwaiwai騒動をどう評価したのだろうか?
そも、「憎悪を煽る」行為とは何だろう?
虚偽を述べようが事実を述べようが、その目的如何では憎悪は煽る事は容易い。
虚偽である事が必ずしも憎悪を煽る事を意味しないし、事実である事が必ずしも憎悪を煽らない事を意味しない。
例えば、南京事件で日本軍が中国軍や中国の一般市民を虐殺したとして、それをただありのままの歴史として後世に伝える事が「憎悪を煽る」行為になるとは思わないが、そこに何らかの政治的意図や、あるいは自身の主義主張に基づいた思想を背景に、その思想に反する誰か(あるいは何か)を貶めるためのアジテーションを目的として喧伝するのであれば、その言動こそが「憎悪を煽る」行為そのものだよね。
例えば、「大戦時、ナチスドイツは多くのユダヤ人を虐殺した」と主張するだけならそれはただの事実でしかないが、これが「大戦時、ナチスドイツは多くのユダヤ人を虐殺した。現在のドイツ人の中には、このナチスドイツ軍人の血を引く子孫がいる」と主張してしまえば、これは現在のドイツ人に対しての「憎悪を煽る」行為になってしまう可能性も生じてしまう。
もしそこに現在のドイツ人を煽るつもりが全くなかったのだとしても、現在の価値基準に基づいたナチスドイツに対する評価を踏まえれば、当事者(この場合は現在のドイツ人)がその「事実」を苦々しく感じるであろう事は想像に難くない。極端な例え話だけど、事の真贋が「憎悪を煽る」の是々非々にならないとはそういう事。
ただ事実を主張したいだけなら書籍の内容が間違っている事だけ主張すれば済む話だし、もし書籍の内容そのものが誰かの「憎悪を煽る」というのであれば、法に訴えて書籍そのものを何かしらの憎悪を煽るヘイト書籍と認定して貰うべきであって、少なくとも一個人が勝手に憎悪を煽るかどうかを決めるのは、その人の主義主張に基づいた主観的な是々非々を超えるものではない。
また、荒唐無稽な書籍の内容を歴史修正主義と批判する事と、書籍を求める人たちの声に応じて増刷を決めた事を批判するのは、本来は全く別ベクトルの話。書籍を求める人たちの声に応じて増刷を決めた事を拝金主義と批判するまでならまだしも、それを資本主義と結びつけて締めくくるのは、この発言者の主義主張が反資本主義だからとしか解釈できないんだけど、そうなるとまさに資本主義を批判する内容のコメントは思想対立そのものであり、このはてブコメントそのものが何らかの対立を煽る=憎悪を煽るコメントそのものとも解釈できる。
加えて云うならば、この書籍を求める人たちが書籍の内容に賛同しているとは限らない。
アパグループの主張によれば――
アパグループは27日のJ-CASTニュースの取材に対して、一連の騒動以降「1万数千件を超える称賛、激励のコメントが寄せられており、批判的な内容はごくわずか」だと説明している。
――とあるが、これが事実かどうか、当時者でない我々には容易に判断がつくものではない。この説明や増刷自体がポジショントークやブラフの可能性もある(一般流通しない本だから、発行部数だってそのまま額面通りに受けとめられるものではない)し、仮に増刷に至った理由が「書籍の内容に賛同した人からの注文が殺到した」のではなく、「読まずに批判するのはよろしくない」と考えた人が大勢いた結果なのであれば、この増刷の決定は必ずしも「憎悪を煽る」行為には繋がらず、むしろ正反対の結果と云える。
そもそもの話でいえば、荒唐無稽な内容の書籍が国家の検閲を受けずに出版・流通可能な事こそが表現の自由が担保されてる証拠であり、それは日本の政治体系が民主主義である事を示すと共に、経済体系が資本主義である事も示しているワケだが、まさかとは思うけど、民主主義(政治体系)と資本主義(経済体系)が対立構造にあるとか勘違いしてないよね? まさか、まさかね。
はてさて、ホントに「憎悪を煽る」行為をしているのは一体誰なんだろうね?